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【2024年度】精神障害による労災認定が過去最多に──背景と今後の課題
2025年6月25日、厚生労働省が発表した「2024年度 過労死等の労災補償状況」によると、精神障害による労災認定件数が過去最多の1,055件に達し、初めて1,000件を超えました。この数字は、働く人々のメンタルヘルスに対する社会的関心の高まりと、職場環境の課題を浮き彫りにしています。
労災認定の内訳と傾向
- 認定件数:1,055件(前年度比+172件)
- 主な原因:
- パワーハラスメント:224件
- 仕事内容・仕事量の大きな変化:119件
- カスタマーハラスメント(カスハラ):108件
- 業種別:
- 医療・福祉:270件
- 製造業:161件
- 卸売業・小売業:120件
- 年齢層別:
- 40代:283件
- 30代:245件
- 20代:243件
カスハラの深刻化と女性への影響
2024年度において、カスタマーハラスメントの労災認定件数は108件となり、初めてセクハラ(105件)を上回りました。被害者の約7割が女性であることも各紙で報じられ、女性労働者への精神的影響が深刻です。
背景にある社会的要因
- 人手不足と業務量の増加
- サービス現場における感情労働の重さ
- 労災認定への理解・申請意識の高まり
今後求められる対策
- 企業によるハラスメント防止対策の強化
- メンタルヘルス研修や相談体制の充実
- 時間外労働の適正化・人員配置の見直し
- カスハラ防止に向けた制度・法整備の検討
参考リンク
おわりに
精神障害による労災認定の増加は、単なる統計ではなく職場のリアルな課題です。企業、行政、そして私たち一人ひとりが、より安心して働ける環境づくりのために意識を高めていくことが求められています。