
延焼しても賠償されない?失火法と火災保険の本当の話
大規模火災と「失火法」から考える備え
2025年11月、大分市佐賀関で発生した大規模火災は強風に煽られ、170棟以上が延焼しました。地域の暮らしが一瞬で奪われる現実は、火災の恐ろしさを改めて私たちに突きつけています。被災者生活再建支援法が適用されましたが、支援金だけでは住宅再建に十分とはいえません。火災は誰にでも起こり得るものであり、日常の延長線上にあるリスクだということを忘れてはいけません。
失火法とは
日本には「失火責任法(失火法)」があります。これは、重大な過失がない限り、火元となった人に延焼による損害賠償責任を負わせないと定めています。つまり、隣家からの飛び火で自宅が焼けても、賠償を受けられないケースが多いのです。放火など故意による火災は対象外ですが、通常の火災では「自分の家は自分で守る」しかありません。法律の存在は、火災が社会全体のリスクであることを示しており、個人の備えが不可欠であることを教えてくれます。
火災保険の重要性
失火法のため、延焼による損害は自己防衛が基本です。火災保険に加入していれば、建物の再建費用や後片付け費用が補償されます。近年は建築資材や人件費の高騰により、住宅の再建費用は以前よりも大きな負担となっています。補償内容の違いが生活再建に直結するため、契約内容を理解して選ぶことが重要です。代理店としても、契約者の方々が「いざという時に困らない」よう、補償の選び方を丁寧にご案内しています。
新価と時価の違い
新価は同等の建物や家財を新しく建て直す/買い直すための費用を補償します。築20年の住宅でも再建費用(例:2,000万円)が対象となり、実際の再建に近い金額が出るため安心につながります。
時価は新価から経年劣化分を差し引いた金額で補償します。築20年の住宅では補償額が1,000万円程度に減額されることもあり、再建費用に足りない可能性があります。契約時に「新価か時価か」を確認することは、将来の安心を左右する大切なポイントです。
まとめ
火災は予期せぬタイミングで起こり得ます。失火法により隣家からの延焼でも賠償を受けられない可能性が高いため、火災保険は“自分の家を自分で守る”ための大切な備えです。特に新価での契約が生活再建の安心につながります。火災は個人の問題にとどまらず、地域社会全体に影響を及ぼすものです。だからこそ、日頃からの備えが自分と家族を守り、地域の安心にもつながります。今一度、ご自身の火災保険を見直してみませんか。
